交通渋滞も悪くない

今日(5月4日)は押しかける車が気になって、小雨の降る中離れたところにある駐車場まで3度見に行った。3度目は午後になっていたが水族館につながる道は渋滞を起こしていた。

先頭は水産高校や、水産試験場の建物が有ってよく見えないが、港を越して1kmはつながっているだろう。このところ5月の連休は一日に5千人以上の入館者が有る。こうなると駐車所の少ないここはたちまち一帯が渋滞を起こしてしまう。

車を見ながら胸に去来するのは、「申し訳ないな」との思いの他にもう一つある。わずか10数年前までには倒産の危機にさらされて、訪れる車も少なく我が加茂水族館はさびしい姿だったのである。

その思いが有るから何とかここまで復活して、渋滞する程も多くの車が来てくれたことが兎に角嬉しいのである。出会う近所の人にも「迷惑をかけてすみません」と言いながら、ひとりでに腹の底から笑顔が浮かんでくる。

加 茂は深山幽谷が海に突っ込んだような地形になっている関係上、海岸に開けた土地が全く無い。作ろうにも作れずに不足している駐車場のせいもあるが、この小 さな水族館はせいぜい入っても4千人が良いところである。それ以上入ると身動きがままならず、それこそ館内が大渋滞を起こすことになる。

渋 滞を我慢してやっと受付に来たものの順番待ちが長々と並んでいて待たされ、中に入ってもクラゲの展示にたどり着くのがまた大変。サーいよいよクラゲを見る かと思えば、そこでまた順番待ちになる。クラゲの水槽を目前に順番を待っている行列が、ウミガメの水槽前から外に出て階段を上がってウミネコの餌付け付近 までつながっていた。

時々「何でこんなに入れるのですか、何も見られないじゃないですか」「あなた先に立って案内しなさい」としかられる ことが有る。「ならば貴方は入らなくてもいいのですか」と喉まで出かけるが、ぐっと飲み込んで「イヤーどうも済みません、今日が一年で一番混む日ですか らー、どうもどうも」と言って勘弁してもらう。

それにしても今日の混みようはすごかった。受付で入場券を買う人が長々と繋がって灯台の下の階段まで行ってさらに折れ曲がっていた。こんなことは48年の歴史でもなかったことだ。

館 長の仕事の大半は電話番と相場が決まっている。渋滞に巻き込まれてイライラしている客からの時もある。「この渋滞は何なのですか、水族館に入る車なら何で もっとちゃんと誘導しないのですか」「いや済みません今日と明日は一年中で一番混む日なものですからどうにもなりません」「待たせるなら待たせるでちゃん と何十分かかるのか知らせろ、このばかやろー」

「俺は大山のすし屋だが注文のものを届けに今泉まで行ったら40分かかった」「いつもなら5分で行けるのだ、繁盛しているからといい気になるな」という電話もあった。

唯々謝る他無かったが、こっちだって結構つらいものが有る。ここは市の施設であるのだ、何とか駐車場の工面をしてくれと言いたくもなる。 クラゲの人気もさることながら、タイミングよく4月の7日にギネスブックに「クラゲの展示種類数世界一」が認定された。このニュースが日本中を駆け巡ったから、遠くからも車を飛ばして見に来てくれたのだろう。

小雨の中、受付の順番をじっと待つお客様に申し訳ない気持ちが募る。あと2年で新しい水族館が出来ます、その時にはもっとスムースにお迎えできるようにしますので、今しばらくのご辛抱を・・・。

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