20万人目の入館者


長かったといえば長い気もするが、わたしの感じでは43年はたしかにあっという間だった。昼寝をして目が覚めたら今になっていたと思うほど短く感じられる。27歳で館長に就任して今70歳になったのだから確かにここでの日々は43年がたっている。

独身かと間違えられたあのころは頭も黒くふさふさとしていたし、体力もあって元気がよかったが、今、鏡に映ったわが身を見れば確かにその年にふさわしい白い頭と痩せて皺がよった顔がある。

思い出してみれば長かった月日の間に様々な事があった。口から出るのは恨みつらみ、愚痴と言い訳ばかりという暗い時期も結構長かった。しかし今クラゲでどん底から立ち直った水族館として、話題を呼んで人気を回復したが同時に館長としての評価も高まっている。

しかし浮かれているわけには行かない。どん底に落ちて倒産を覚悟したあの時も私が経営の責任者だったのである。そして見事何とか経営を立て直すことが出来たのも私が館長をしている今である。

算数ではないが業績を足し引きしてみれば、まあプラスとマイナスでゼロ…これが本当の私の業績ということだろう。

今から8年前に鶴岡市が加茂水族館を買い取ってくれて、36年ぶりに再び市営の水族館になった時、入館者は回復していたとはいえ116,000人だった。

あれがピークで後は多少の上下は有っても大体そんなものと思っていた。何をやっても駄目で落ちるところまで落ちると、情けないが負け犬根性がしみこんでいるもので先を明るく見ることは出来なかった。

市に移ってすぐの5月「5万人会議」なるものを立ち上げた。実現は無理でも高い目標に向かって頑張ろう…という気持ちだった。

無我夢中でクラゲの展示を増やして行く中で、手の届かない夢が実現したのが平成17年の「クラゲ世界一の展示」、そして今年1月3日とうとう20万人目のお客様が入館した。

20万人はオープン当時の入館者である、これで本当にプラスマイナスがゼロになった。

館長人情話

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